【書籍紹介】順天堂大学が教えるパーキンソン病の自宅療法

こんにちは!PDSQ Labo編集部です。

パーキンソン病に関する一般向け書籍は毎月何冊も発行されており、鍼灸師の方も読まれたことがある方はいるのではないでしょうか。

今回は一般向け書籍の中からオススメの書籍を紹介していきたいと思います。

順天堂大学が教えるパーキンソン病の自宅療法

この本を読むことでパーキンソン病に関する病態から治療法に関する全体像を把握できるようになるので、「これからパーキンソン病患者を担当する」という方はぜひ読んでおいてください。

1.書いているのはどんな方?

著者の服部信孝先生といえば、パーキンソン病に関わっている医療従事者であれば知らない人はいないですよね。日本で最も有名な医師の一人です。

https://goodhealth.juntendo.ac.jp/medical/000134.html

順天堂大学神経内科は、2020年11月Newsweek誌にて発表された「世界の優秀な病院ランキング(World’s Best Specialized Hospitals 2021)」の神経学分野で、日本1位、世界10位に選ばれました。

服部先生は、日本のパーキンソン病治療を常に引っ張ってこられ、「パーキンソン病研究において1996年-2006年における論文引用回数」は世界7位にランキングされるなど、名実ともにNo1の先生です。

2.勉強になったポイント

一般的な病態から薬の治療、外科治療などデータをもとに分かりやすい表現で解説されています。治療法に関する新常識や、サプリメントなどについても幅広く解説されており、パーキンソン病に関して網羅的に学ぶことができる内容となっています。

また、表現方法は「語り口調」となっているので非常に読みやすく、2時間もあれば1冊読み切れるので小難しい論文を読むよりも、まずはこの本から読まれると良いのではないでしょうか。

3.あえての反論ポイント

非常に読みやすい本なので、正直批判するような点はないのですが、あえて反論ポイントも述べていきたいと思います。

この本では「リハビリ体操」が数多く紹介されています。

リハビリテーションはパーキンソン病診療ガイドラインでも有効性について言及されており、薬物治療と併用することが進行予防には欠かせない治療法です。

ただ、この本の中で「リハビリのポイントは【伸展】と【回旋】にある」と述べられていた点に関して「ん?それだけではないぞ」と感じたので反論を述べさせて頂きたいと思います。

パーキンソン病では体幹の柔軟性が低下することで回旋や伸展といった動きに制限をきたしてしまうのが特徴的な所見ですが、これらは運動学的な視点で考えると「矢状面上と水平面上に関してのみが重要である」と述べているとも言えます。

運動学的にはその他に前額面といった横の動きもあり、仮に前額面の問題が発生すると、体が横に傾く「Pisa徴候」といった現象が起きてしまいます。

パーキンソン病では、一側の緊張性体幹ジストニアによりPisaが起きやすいことから前額面上に対するリハビリも欠かすことが出来ない点です。

このような点からも、私なら「リハビリのポイントは【伸展】と【回旋】と【側屈】にある」と述べたいと考えます。

4.本の中の名言・名文

服部先生が医師を目指すきっかけとなったエピソードが非常に共感できる内容だったので紹介させていただきます。

私が医師を目指したのは、「人と接する職業に就きたい」という思い、そしてそのときに見た映画『赤ひげ』の影響がありました。 ・・・・・
私はこの映画の主人公の「患者を診る」「患者の心を診る」「患者の家族を診る」という生き方に大きな感銘を受けたのです。今もこの3つは私が脳神経内科医として患者さんと接するとき、最も大切にしている姿勢でもあります。

引用:順天堂大学が教えるパーキンソン病の自宅療法

服部先生の講演も何度か聞かせて頂いたことがありますが、「病気をみるのではなく人をみる」ということを大切にされており、「いつでも心配があったらメールしてきてくださいね。必ず返信します。」と講演でも当事者の方に話しており、一人の医療者として本当に尊敬できる方です。

読んだ方はぜひ感想コメントもお待ちしています。

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