【書籍紹介】「臨床推論~臨床脳を創ろう~」鍼灸師必見の1冊です

【Abstract】
本書は鍼灸関連書籍では数少ない臨床推論を学ぶことの出来る書籍です。
学校で教わった勉強が臨床とリンクしない事に悩んでいる人はこの本を読むことで実践で使える臨床的思考が手に入ります。

鍼灸学生さん達と話していると

「学校で勉強している内容をどうやって臨床に繋げたらいいのか分からないんです」

こんな相談を沢山受けます。

私自身も臨床と勉強が繋がるようになったのは、実際に臨床現場に出るようになってからでした。

学生時代、「この勉強は何の意味があるんだろう」って否定的な気持ちで取り組んでいたので無理もないですよね。

そんな若手鍼灸師・鍼灸学生にオススメの書籍はこちらです。

臨床推論-臨床脳を創ろう-
臨床推論という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
鍼灸教育において臨床推論の講義を受けたことのない鍼灸師が大半なのではないかと思います。

【臨床推論とは】
臨床推論とは、患者の訴えから考えられるすべての疾患を挙げ、治療一つ一つひとつを体系的・分析的アプローチを行う思考過程のことです。

学校ではOSCE(オスキー)と言われる実技形式の試験を受けている人は多いですが、学生の話を聞くと実践的な臨床と呼べるものではなく形式的なものになっている所が多いように感じます。

※OSCE(Objective Structured Clinical Examination=客観的臨床能力試験)

この本の最大の特徴はドラマ仕立ての展開で、実際の患者さんとの会話の中から筆者がどんな風に思考を巡らせ、病態を突き止めるまでの推理を知る事が出来るという点です。

この推理方法は仮説演繹法と言われる思考方法で、患者さんが訴える症状や所見に対し、色々な検査をしながら鑑別診断していく方法です。

【仮説演繹法のメリット】

  • 頻度の高い疾患(common disease)の鑑別に適している
  • 分析・科学的に検証する
  • 誤診の危険性が少ない
  • 臨床推論の思考過程を振り返りやすい

これだけ見たら「仮説演繹法って最強の思考法じゃないか」と感じた人も多いのではないでしょうか?

実際そうだと思います。

ただし、メリットがあれば当然デメリットも存在します。

そのデメリットとは、、

仮説演繹法にはかなりの知識量が必要であるという点です。

仮説演繹法を使いこなせるようになるには「鍼灸師版名探偵ホームズ」並みの推理力が必要なので、そんな簡単に手に入る代物ではありません。

その超高難度なスキルですが、その推理の思考過程を惜しげもなく解説してくれているのがこの本なんです。

鍼灸師版ホームズ役を演じてくれている主人公が、丹澤章八(たんざわしょうはち)先生です。

医師でありながら東洋鍼灸専門学校の元校長を務め、日本鍼灸界の発展のために90才を超えた現在もなお後進育成に尽力してくださっているレジェンドな先生です。

私自身も過去に米寿の記念公演を拝聴させて頂きましたが、先生のパワフルなトークに圧倒されたのを思い出します。

以下にwikipediaに載っている来歴を載せておきます

【丹沢先生の来歴】
1951年、信州大学松本医学専門学校(現信州大学医学部の前身)を卒業し医師となる。
1957年に京都府立医科大学で医学博士を取得し、産婦人科医として臨床にあたった。
1959年、厚生技官を経て家庭の事情により医師を退き、その後13年間、製薬業界で実業家として活動した。
1972年に医師復帰。米国から日本に導入されて間もなかったリハビリテーションに注目し、当時日本に数えるほどしか存在しなかったリハビリテーション専門病院である神奈川県総合リハビリテーションセンター・七沢リハビリテーション病院に勤務、のちにリハビリテーション部長、東洋医学科部長を務めた。
1976年には上海市革命委員会の招きを受けて、日本医師団の13名の一人として上海中医学院(現上海中医薬大学)へ留学し、現代中国鍼灸医学・医療の研修を受けた。
帰国後は、鍼灸医療(東洋医療)をリハビリテーション医療(現代医療)に導入し、東西統合医療の先駆的実践者として活動する。
その前後、北里大学衛生学部非常勤講師や東海大学医学部非常勤教授を経て、1991年に明治鍼灸大学(現明治国際医療大学)大学院の教授となる。
これは日本で初めての鍼灸学研究科修士課程の設置であった。
さらに、厚生省審議会委員、あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師国家試験ワーキンググループ座長を経て同試験委員会委員長を務め、都道府県知事免許であったあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が1992年に厚生労働大臣免許(国家資格)に変更されるにあたり大きく貢献した。
また、日本最大規模の鍼灸学術団体である全日本鍼灸学会の会長を務め、2016年には同会名誉会員となっている。
80歳を超えた後も、2010年5月に東洋医学を次代につなぐ医療人育成のための研修塾である「丹塾」を同人とともに設立し、現在も精力的に後進の育成を続けている。

引用:wikipediaより

この略歴見ただけで凄さが分かりますよね。

そんなレジェンドのリアルな頭の中を一冊の本で知ることが出来るなんて安すぎると思いませんか?

学校では学べない知識を知ることが出来るのはこの本だけだと思います!

臨床推論-臨床脳を創ろう-

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