こんにちは!PDSQ Labo編集部です。
皆さんはパーキンソン病はご存知ですか?
全国には現在約15万人いると言われており、珍しい病気ではなくなっています。
ドパミンには「無動」「筋強剛」「振戦」「姿勢反射障害」と言われる四大徴候があり、国家試験にも必ず出てくるので覚えてるとは思いますが、実際パーキンソン病について知ってる事と言ったら四大徴候くらいしか覚えていない方も多いのではないでしょうか。
以前は、四大徴候の中の「振戦」について解説しました。
今回は「筋強剛(きんきょうごう)」について話してみたいと思います。
1.筋強剛にはパーキンソン病にほぼ間違いなくある
中脳の黒質は運動の切替を調節する働きがあるんですが、黒質から分泌されるドパミンという物質が減ることによって、調節が出来なくなってしまいます。
それにより、体の緊張が高くなったりします。
これが筋強剛です。
『筋強剛のないパーキンソン病はない』
と言われるくらい、ほぼ間違いなく見られる症状です。
2.筋強剛じゃなくて固縮じゃないの?
学校の授業で学んだ人は「筋強剛?固縮と何がちがうの?」と思った人も多いのではないでしょうか。
どちらも同じ意味です。
「rigidity」という言葉を訳した時に、これまでは「固縮」という用語が汎用されていたんですが、日本神経学会によると、現在は「筋強剛」と呼ぶことになっています。
実際、私は固縮という言葉に馴染みがあるのでついつい今でも固縮と言ってしまいますw
3.痙縮とは似てるけど違う
これはあるあるネタですね。
現場の鍼灸師の中でも違いが曖昧で混合してしまう人も多い言葉です。
筋強剛と痙縮の大きな違いは、「動かす速さによって硬さが変わる」という点です!
パーキンソンにみられる筋強剛の場合、四肢を速く動かしても遅く動かしても抵抗感は常に同じ。
それに対し、脳卒中でみられる痙縮は速くうごかすと抵抗が強くなるけど、遅く動かすと抵抗は弱まるというものです。
これは、相動性伸長反射が亢進しているために起きる反応で「折り畳みナイフ現象」とも呼ばれています。
※相動性筋収縮とは、速く動かす収縮のこと
4.症状は2種類に分類されている
種類は大きく「歯車様筋強剛」と「鉛管様筋強剛」の2種類に分類されています。
Youtubeに実際にパーキンソン病の方を評価している動画があったのでこちらをご覧ください!
【歯車様筋強剛】
検査のポイントは「反対側の手で反復な随意運動を行ってもらうこと」です。
具体的には、
- 反対の手で「グー・チョキ・パー」や「グー・パー」を何度も繰り返す
- 反対の手で肘の曲げ伸ばしを何度も繰り返す
ということをすると軽度な筋強剛も発見できるかもしれませんよ。
5.症状の進行はN型
出現する順番は、N型と言われていて、以下のような感じでみられます。
なので、右手発症の方をみる場合、
「右足にも今後症状が出るかもしれないので注意深くcheckしておこう」
という視点を持っておくことが大切です。
症状が初期であるほどコントロールしやすいので、早期に発見してあげることで長期的な身体機能の維持を図ることができます。
6.鍼灸師として何ができるのか
パーキンソン病は進行性疾患であり、症状は徐々に進行していきます。
医療従事者としては当たり前のことですが「治療をすれば治りますよ」などといった軽はずみな発言はしないで下さいね。
ただ、パーキンソン病の症状を早期に発見して適切な治療をすることで、進行を遅らせることは可能性です。
進行予防は早期であればあるほど特に大切です。
パーキンソン病の姿勢には以下のような特徴があります。
「顔が前に出て、背中が丸くなり、全体的に前かがみの姿勢になる」
これって高齢者が起きやすい姿勢の特徴ですね。
そう考えたときに、服薬でのコントロールに加え、運動療法と組み合わせるとめちゃくちゃ効果的です。
パーキンソン病は進行すると自分自身の意思で思うように動かせなくなってしまいますが、鍼灸治療で筋強剛を緩和してあげることで動かしやすい体作りをサポートすることができます。
筋強剛は、鍼灸師が症状をサポートできる症状の一つであり、①だけでなく、②③もスキルとして持っておくと非常に臨床効果を向上することができますのでぜひ身につけておきましょうね!
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