こんにちは!PDSQ Labo編集部です。
今回はパーキンソン病に似た症状を示す疾患である「進行性核上性麻痺(以下:PSP)」について解説していきます。
1.PSPとはどんな病気?
PSP(progressive supranuclea palsy)はパーキンソン病と同じく、中年以降で発症しパーキンソン病と似たような症状が進行していく疾患で「パーキンソン病類縁疾患」と言われています。
この疾患は中脳の後ろが萎縮し、「タウ蛋白」という異常タンパク質が蓄積してしまうことで様々な障害がみられます。
パーキンソン病は10万人あたり100〜150人なのに対し、PSPでは「10万人あたり5〜20人」とかなりの希少疾患です。
また、パーキンソン病と同じく高齢化とともに増加しやすいことから、今後さらに増加していくことが予想されますね。
2.PSPの主な症状
まずはPSPに特徴的な症状を押さえておきましょう。
- 易転倒性
- 目が動きにくい:特に上下方向
- 筋強剛:特に体幹・頸部
- 認知機能の障害
- 構音・嚥下障害
上記の中でも最も特徴的な症状は、「発症早期から転倒を繰り返してしまう」という点にあります。しかも転倒した際にバランス反応も起きない為、頭部から外傷を負ってしまうこともしばしばみられます。
また、バランス機能の低下だけでなく「注意力が低下」してしまうことから「慎重に動こう」といった思考にならないので、いくら注意を促したとしても何度も繰り返してしまいます。
3.PSPには様々なタイプがある
近年では、PSPには典型的な症状を示さない病型があることが明らかになってきました。
- Richardson’s症候群:古典的な病型
- PSP-P :パーキンソン病型
- PSP-PSGF :純粋無動症型
- PSP-C :小脳型
- PSP-CBS :大脳基底核変性症型
※典型的なPSPのことを現在では「PSP-RS」と呼ぶことが多くなってきました。
これだけさまざまな病型があると、症状・経過も個人差が大きいのが現状です。ここでは典型的なPSPであるRichardson’s症候群の経過がどんなものかを押さえておきましょう。
Richardson’s症候群では、平均的には5年で寝たきりになり、約5-6年で死亡すると言われています。ただし、これらの経過はあくまで平均的な経過であり個人差が大きいので、10年以上の経過をたどる場合も珍しくはありません。
PSP患者を担当する場合には、個々の症状に合わせた評価・治療を行うと共に今後予想される症状を未然に防ぎ進行を遅らせることが大切だと考えます。
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