【鍼灸】パーキンソン病患者に鍼灸師の存在が必要な3つの理由

こんにちは!PDSQ Labo編集部です。

パーキンソン病は治療院勤務や一般的な在宅現場の鍼灸師だと、年に1人みるか否かではないでしょうか。

パーキンソン病は人によって進行度も様々で、「Hoehn & Yahr(ホーン・ヤール)の重症度分類」1〜5度全ての方を対象としています。

【Hoehn & Yahr(ホーン・ヤール)の重症度分類】
1度:症状は左右どちらか、体の片側にしか見られない。症状も軽度。
2度:症状は両側に現れるが、ADLや通院に不自由することはない。
3度:姿勢反射障害が見られ制限が出てくるが、自力でのADLは可能。
4度:何とか起立や歩行は出来るが、ADLに介助が必要な時がある。
5度:一人で歩行・起立が出来ず、ADLには介助が必要。

なので、発症初期の症状もほとんど出ていない人もいれば、ベッドで寝たきりの方まで担当しています。

そんな私が、臨床現場を通してめちゃくちゃ痛感していること、それは

「パーキンソン病患者さんにとって鍼灸師って思っている以上に重要な役割を担っている!」

と感じています。

今回、タイトルにもある通り、「パーキンソン病患者に鍼灸師の存在が必要な3つの理由」を話していきたいと思います。

理由その1:筋肉の短縮を改善できる

パーキンソン病には、”筋強剛”という「筋肉がこわばってしまう」症状があります。
『筋強剛のないパーキンソン病はない』と言われるくらい、ほぼ間違いなく見られる症状です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

パーキンソン病に関わる鍼灸師が最低限押さえておきたい「筋強剛」ってなに?

パーキンソン病の筋強剛は“静的γ運動ニューロンの亢進”によってみられる病態です。

【静的γ運動ニューロンの亢進】
姿勢を保とうとする時に、筋肉を一定の長さに保とうとする反応に関わる運動神経が亢進している状態。
この時、持続性伸張反射が亢進しているため、姿勢を一定の位置に保とうとしても伸長反射によって体が曲がっていってしまう。

これにより、自分の意思に反して、体を真っ直ぐに保とうとしても体幹が屈曲していってしまいます。

よく、そういった人に安易に「背筋を鍛えましょう」という指導をしている人もいますが、そもそも“静的γ運動ニューロンの亢進”によって背筋運動しようにも動かすことが出来ない状態だということを理解しておきましょう。

そんなパーキンソン病患者さんに何をしたら良いかというと、

「まずは腹診でお腹の状態をみてみよう」

ということです。

体幹屈曲姿勢になっているパーキンソン病患者さんの多くは腹筋群の筋肉が短縮しており、腹部の筋肉や皮膚が硬くなって動きにくくなっているケースが非常に多いです。

腹診をすると皮膚や筋肉が動かなくなっているのが確認出来るので、そこを鍼で緩めてあげることで体幹の伸展が自然と行うことが出来るようなります。

理由その2:非運動症状に対してもアプローチできる

これって凄いことだと思うんですよね。

パーキンソン病患者さんは運動症状というイメージを持っている人が多いですよね。
実際には、非運動症状も出現しており、患者さんの生活の質に大きく影響します。

非運動症状には、睡眠障害・頻尿・便秘・下痢・自律神経症状・うつなど様々な症状があり、服薬治療が中心となっています。

鍼灸治療によって症状を緩和することで、減薬につながる可能性もあるので、患者さんのADL/QOL向上にも関われますね。

理由その3:発症初期からアプローチできる

ここ、実はすごく大事です。

担当するパーキンソン病患者さんの多くは、体力も落ちていてADLを一人で行うことが出来なくなっている方ばかりです。

パーキンソン病の場合、進行が進んでくると、運動も随意的に行えなくなってしまいます。
進行期パーキンソン病の場合、身体機能の維持よりも生活環境を整えることが中心となっていて、治療の効果も得られにくいという問題があります。

その理由には、理学療法士や作業療法士などが保険制度下で関わるには
「ADLに何かしら支障をきたしている要支援&要介護認定の方」
という壁があります。

※ヤール1.2の進行度であっても要介護&要支援認定(ADLに何かしら支障の出て介護や支援が必要な状態のこと)を受けていれば保険下での訪問は可能です!

本来治療効果の有効性が得られている初期パーキンソン病(Hoehn &Yahr分類1〜2度)の方々は、専門家のアプローチを中々受けにくく、自分でどうにかするしかないという事が多い状況です。

それに対し、鍼灸師は自費治療を行っている院がほとんどで、患者さんは治療院へダイレクトアクセスができます。

それもあって、パーキンソン病患者さんに話を聞くと、
「鍼灸院やマッサージに通っている/いた」
という人が殆どです。

発症初期から出会うことが出来る鍼灸師は、パーキンソン病患者さんにとって、非常に重要な役割を担っているし、責任も重大と言えますね。

鍼灸師が思っている以上に、役割や責任は重大だと思うので、技術や知識の向上は不可欠ですね。

以上、「パーキンソン病患者に鍼灸師の存在が必要な3つの理由」を私なりの視点で考えてみました。

みなさんの考える必要な理由もあれば、ぜひコメントお待ちしています!

また、この記事を読んで、
「鍼灸師は初期パーキンソン病患者の進行予防に関わっている筆頭である」
という自覚を持っていただけたらと思います。

そうなった時に、「鍼灸師なんだから私は鍼灸だけで治す」という考えって、治療の中心軸が「自分」になっています。

あくまでも治療の中心軸は「患者さん」であって、鍼灸師のこだわりはいりません。

ではまた!

友だち追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です